「やっぱり膵臓に悪性か良性かはわからないけど影があるねぇ。」
医師に見せられた先日の検査の画像をみると、たしかに何かある。
それは6.5ミリという小さなもので、見つかったのは奇跡とも言えるだろう。
私の腫瘍は膵臓にあり、「膵臓は沈黙の臓器」と言われるほど腫瘍などができても自覚症状のない場所だったのである。
80%の人は見つかったときはかなり大きくなり手遅れな事が多いと聞いた。
「膵臓を切ったらどうなるんですか?」
膵臓という場所はインシュリンを出す大切な役割を果たしてるため、
部分的に切除すれば糖尿病にかかりやすくなる、全部摘出すればそこで重度糖尿病となる。
私の腫瘍の場所は細長い膵臓(医師はたらこと呼んでいた・・・)の真ん中にあって、かなり微妙な位置だ。
摘出するとなると、半分、もしくは三分の二、もしくは全摘だろう。
ガン特有の、「念のため大きくきりましょう」になるのであろう。
非常に厳しい選択。
切り取って、ガンではなかったら・・・?
ガンかもしれないとう恐怖に脅かされることはないだろう。
ただその代償はあまりにも大きい気もする。
今までやってきた検査を一ヶ月に一回くらいして、様子をみる。
そんな手もある。
ただすい臓はガンの進行がかなり早く、手遅れになる危険性も考えられることになる。
切除したとして、再発はどうなんだろう?
5年生存率20%
80%の人が再発をすると言うことだ。
80%って・・・
私は昔から%で表すことが嫌いだった。
白か黒かはっきりしないと気がすまないたちである。
ただ今はその80%が重くのしかかる。
「このくらいの腫瘍が胃にできたとしたら、簡単に取れるんだけどね。」
なんの慰めにもならない医師の言葉を冷静に聞きつつ、
後ろで聞いている母親と主人が気になった。
たぶん、私よりもショックをうけているであろう。。。
さて、どうしたものか。
八方塞りとまではいかないけど、確実に結論を迫られる状態にある。
今こうしている間も腫瘍は魔の手を伸ばし続けているかもしれないのだから。
外科的処置(手術のこと)をするためには、また新たな検査が必要だ。
今度は「内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)」を受けることになった。
何やら難しい言葉がずらずら並べてある検査だ。
簡単に言えば胃カメラのように内視鏡を飲み込んで、胃を通過、十二指腸までいく。
そこに膵臓をつなぐ胆管というものがあるので、そこの造影剤を流し込み、膵臓の状態をみるということだ。
その検査により悪性か、良性かの判断も今よりは少し精度があがるらしい。
でも結局はその検査は外科的処置をするための検査に過ぎないようである。
検査のデメリットに死亡率が書いてあった。
死亡率が堂々と書いてある検査ははじめてのこと。
とにかく少し大きな検査になるので入院が必要になった。
入院はうまくいけば3日程度。
膵炎やらなんやら合併症を起こせば長くなるかもしれないし、帰ってこれないかもしれない。
「よく考えてからでいいですよ。家でゆっくり考えて・・・」
医師はそう言ったが、そんな悠長なことを言ってられる時間がはたしてあるのだろうか?
じっくり考えなくてはならないほど、それ程危険を伴う検査なのだろか?
もう先に進むしかないじゃないか。
「検査の予約お願いします。」
検査日は11月5日に決まりました。
前日から入院の予定です。