SLEの治療

非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAID)

発熱、関節炎などの軽減に用いられる。ただし、全身性エリテマトーデス患者は薬剤アレルギーを起こしやすいこと、NSAIDの長期投与は消化管潰瘍、腎障害などを起こしやすいこと、などに注意することが必要である。

ステロイド剤

全身性エリテマトーデスの免疫異常を是正するためには副腎皮質ステロイド剤の投与が必要不可欠である。一般には経口投与を行ない、疾患の重症度により初回量を決定する。軽症例ではプレドニゾロン換算で1日15~30mg、腎症のあるものは40mg以上、治療抵抗性のものは60~80mgが用いられる。初回量は2~4週間前後継続したのち、臨床症状、理学的所見、検査所見などの改善を指標として2~4週毎に10%を目安に漸減する。疾患活動性の指標としては、血清補体価、C3、C4、抗DNA抗体価 (特に抗体dsDNA抗体) が有用であるほか、血沈、尿蛋白、尿沈渣、血算などの検査所見が参考となる。ステロイド抵抗性の症例では、メチルプレドニゾロン1日 500~1,000mgを3日間点滴静注するステロイド・パルス療法が用いられる。ステロイド剤の維持量としては、プレドニゾロン換算で1日10mg以下が望ましい。

免疫抑制剤

ステロイド剤を使用しても十分な効果がみられなかったり、ステロイド薬の減量がスムーズにいかなかったり、ステロイド薬による大きな副作用がみられたりする場合には、アザチオプリン(イムラン)、6-MP、シクロフォスファミド(エンドキサン)、ミゾリビンなどの免疫抑制剤といわれている薬を併用します。
これらの薬にも副作用はありますので、定期的にチェックされます。
難治性のループス腎炎や中枢神経障害に対してエンドキサンのパルス療法(一回500~750ミリグラム、月一回点滴静注)が行われることがあります。

血漿交換療法

ステロイド薬や免疫抑制剤の治療によって改善しないことがあります。
また、副作用のため、これらの薬が使えないこともあります。
このような時に血漿交換療法が行われます。
とくに、血中の抗核抗体、DNA抗体、免疫複合体などの値が高く、これらが病気の状態にかかわっていると思われる時に効果的です。
この病気では、急激に進行する腎炎や、けいれん発作、意識消失発作をくりかえす中枢神経症状に医療保険の適用が認められます。

その他

高血圧を伴う場合には、腎機能障害の進行を防ぐためにも積極的な降圧療法が必要となる。腎機能が急速に悪化する場合には、早期より血液透析への導入を考慮する。
急性憎悪型では、急性期を脱すれば透析を離脱する可能性がある。慢性憎悪型には早めに内シャントを作成する必要があり、持続的な透析が必要となる。抗リン脂質抗体症候群を合併している場合には、積極的な抗凝固療法が行われる。

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