長期透析で起こり得る症状

長期に透析をおこなっている間には、ある種の有害物質が慢性的に影響し、合併症として現れることがあります。
合併症を予防するための基本は、十分な透析と自己管理の徹底です。
また、合併症の多くは、早期に発見することで対処できます。

貧血

造血ホルモンであるエリスロポエチンの分泌低下に加え、尿毒素や栄養不足によって赤血球が減少されます。
症状は、食欲不振、疲れやすい、動悸、息切れ、めまいなどです。貧血はエリスロポエチンが人工的に作られるようになって、
ほぼ改善されるためには、十分な透析、十分な栄養、適切な運動が欠かせません。

低血圧

透析年数が長くなると、透析導入期に高血圧だったか多も、次第に低血圧に移行し、透析や日常生活に支障をきたす方も増えてきます。
原因はまだよくわかっていませんが、自律神経の機能障害、血管運動神経の障害などが疑われています。
症状としては、起立性のめまい、倦怠感などですが、無症状のこともあります。
体重管理を徹底し、バランスのよい食事を心がけましょう。

高血圧

透析導入期には、ほとんどの人に高血圧があります。
このうち約一割くらいの人はなかなかコントロールしにくい重症な高血圧をもっています。
高血圧は水分や塩分のとりすぎによって血液量が増加することが原因の一つです。
水分や塩分の摂取量に注意しましょう。
透析間の体重の増加は、体重の5%(50kgの人なら2.5kg)以内に抑えることが理想です。

肺水腫

定期的に透析を受けていても、透析に入る前は体内の水分や塩分が過剰となり、肺水腫を起こしやすい状態になっています。
症状は、むくみ、咳、たん、呼吸困難などです。
ひどくなると血の混ざった泡を口から吹き出し、処置が遅れると死亡することもあります。
予防するには、水分、塩分、体重のコントロールが大切です。

心不全

心臓のポンプ機能が低下して体に必要な血液を送り出せない状態を心不全といいます。
症状は、むくみ、動悸、息切れなどです。
前述した肺水腫も、急性の心不全ではありましたが、ふつう心不全というときは、心室肥大、冠動脈硬化、心筋梗塞、心筋症など心臓そのものに病気がある場合です。
また、高血圧や強い貧血、シャントの血流が多すぎるときも心臓に負担をかけることになります。
予防には、水分・塩分の制限、体重・血圧のコントロールが大切です。
運動制限をすることもありますし、強心剤が必要な人もあります。

かゆみ

透析中、透析後、就寝時などに、痒みが増強されます。
原因は尿毒素やカルシウムが皮膚に沈着すること、汗が出にくいこと、薬物の副作用やアレルギーなどとされています。
皮膚が乾燥していると痒みが強くなるので、クリームを塗ることも有効ですが、かゆみ止めや精神安定剤の内服も有効なじちがあります。

動脈硬化

動脈の内側に死亡やカルシウムがたまると、血管が狭くなり、血液が通りにくくなります。
この状態を動脈硬化といいますが、透析を行っている人では、高血圧、高脂血症、カルシウム代謝異常などが重なり、動脈硬化をおこしやすくなります。
血圧をコントロールするためには水分、塩分の制限を、高脂血症・肥満予防のためには、カロリー制限を守りましょう。
また、適度な運動、禁煙、ストレスの解消なども大切です。

骨への影響

長期透析に生じるもっとも頻度の高い症状は、骨がもろくなったり、骨折しやすくなったり、骨・関節痛が出てくることです。
腎不全ではカルシウム代謝に関係する活性化ビタミンDが不足するので、骨への影響はさせられません。
これら腎不全に伴う骨疾患は腎性骨異栄養症と呼ばれていますが、活性化ビタミンDの内服、十分な透析、カルシウムを多く含む食品の摂取,適度な運動を行って、治療と予防に努めましょう。
また、高リン血症は低カルシウム血症の主要な原因の一つとなっていますので、リンを多く含む食事の制限やリン吸着剤による高リン血症の予防が大切です。

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