臨床症状

全身症状


疲れやすい・だるい・活力がない・体重が減る・熱が出る・・など。
全身症状は必ずみられるわけではありませんが、疲れやすさは約75%に、体重の減少は約67%と高い頻度です。
発熱は約80%にみられ、突然、高い熱が出ることもありますし、微熱が続くこともあります。
風邪や感染症と思って抗生物質を服用してもなかなか熱は下がりません。
これらの症状は、病気の始まりや、病気が活動期にある時によくみられます。

皮膚症状


頬と鼻にみられる紅斑は、蝶形紅斑ともいわれSLEでよくみられます。
同じような紅斑は、前胸部、手指、手のひら、耳介部、頭、口唇などおもに日光にあたりやすいところにできるのですが、
時に足の指や足のうら、背中、腕、下肢などにもみられます。
これらの紅斑は、とくに日光過敏症の人に多くみられます。
頭髪がぬけてうすくなる、出血斑がでる、皮膚に潰瘍ができる、口の中に口内炎が出やすい、などもSLEに関係していることがあります。
またレイノー現象(冷たい水の中にさらされると皮膚が白くなったり紫になったりする)がみられ、寒さにさらされたり、緊張すると手指や
足の指が白くなったり、紫色になったりすることがあります。

関節症状


手指、足の指、肘、膝、肩、顎などの関節の痛みやこわばりがみられます。
一つの関節だけのこともありますし、多くの関節が移動性に痛むこともあります。
SLEの患者さんには、時に、無菌性骨壊死という合併症を伴うことがあります。
頻度としては10%ですが、よく侵されるところは股関節で、強い痛みを伴います。

心臓、肺の症状


SLEでみられる心・肺の障害は、胸や心臓の膜に水がたまることです(胸膜炎・心外膜炎)。
これらの障害がありますと、胸が痛んだり、息切れ、動悸、むくみなどの症状が出ることが多く、時には呼吸困難になることがあります。
また、肺に炎症をおこすことがあり(間質性肺炎)、この場合にも、息が苦しくなったり、胸の痛みやせきが出る、熱が出る、などの症状がみられます。
稀ですが、肺出血、肺梗塞、肺高血圧症などの思い症状をみることがあります。

腎臓の症状


腎臓はSLEの内臓障害のなかでも最もよく侵される臓器で、最も重要な障害です。
SLEの患者さんの半数以上は、軽い人から重い人までいろいろな腎障害を伴ってきます。
治療しないで腎臓の障害がひどくなってきますと、身体のなかの不必要な生化学的物質のバランスがくずれることにもなります。
そのため、腎臓の障害の程度を正確に把握するのに尿や血液の検査が必要です。
尿検査で、蛋白尿、赤血球尿、円柱尿などがみられれば、腎臓の障害のあることがわかります。
この病気で最も注意しなければならないのは、ネフローゼ症候群でむくみや身体に水がたまったり、腎臓の機能障害で、むくみや高血圧、
尿毒症などが認められるまで時間がかかり、その間、腎臓の障害による症状が出にくいということです。
尿に初めて異常所見が見つかる時期では、むくみや高血圧などの症状をみることは少ないのですが、早期に治療を開始する必要があるのです。
このことが、ネフローゼ症候群の進行や尿毒症を防止することにもつながります。
そのため、尿と腎臓の障害がない場合でも、定期的に行う必要があります。
SLEでは、これらの尿異常所見を約80%に認めます。
最初は、蛋白尿が出てもごく少量で、赤血球尿や円柱尿だけのこともあります。
進行しますと、蛋白尿も次第に増えてきます。
蛋白尿が多量に出るようになりますと、ネフローゼ症候群と呼ばれる状態になり、血液のなかの必要な蛋白質が尿へでてしまいます。
そのために、血液の蛋白質が減って、栄養状態も悪く、むくみが出たり、心臓、胸、お腹に水もたまるようになります。

精神、神経症状


てんかんによく似たけいれんや意識がなくなる発作がみられることがあります。
また、うつ状態や興奮状態、不眠、不安感、神経症、錯乱、情緒不安定をみることもあります。
その他、まひやしびれ感、髄膜炎、視力障害、偏頭痛などをみることもあります。
これらの症状は、腎臓の障害に次いで重要な症状です。

胃腸症状


食欲不振、腹痛や吐き気、嘔吐、下痢、便秘などがSLEによって起こることがあります。
稀に、お腹に水がたまることがあります。
これは、心臓に水がたまったり、尿に蛋白がたくさん出ていたり、肝臓の障害がみられたりすることと関係していることが多いのです。

リンパ節、膵臓、肝臓の症状


SLEでは、顎部、わきの下、大腿骨のところのリンパ節がはれてくることがあります。
左わき腹のなかに膵臓というリンパ組織がありますが、これも腫れて、お腹から触れることがあります。
時に、SLEによって起こる肝炎(ルポイド肝炎)がみられます。

月経障害


SLEのために月経が不順になることがあります。
場合によっては、数ヶ月間にわたり月経がまったくないということもあり、多くはSLEの活動期と関係しています。
SLEがよくなってきますと、多くの場合正常にもどります。
時に薬の影響やホルモンの異常で月経が不順になることもあります。

血液の異常


SLEでは、貧血、溶血性貧血、白血球減少、リンパ球減少、血小板減少がよくみられます。
SLEで特徴的なのは、抗核抗体とDNA抗体という自己抗体が高頻度に出現することです。
また、血清の補体価が低下することが多いです。

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