副作用の現れ方は、人によってことなりますが、ゆっくりとした透析で除々に体を馴らしていくことでその症状を軽くすることができます。
原因と症状をよく理解して副作用の予防に努めましょう。

不均衝症候群

透析導入期によくみられる副作用です。
透析を行うと、血液の老廃物は急速にとれてきれいになり、老廃物がとれにくい脳との間に濃度差が生じます。
つまり、濃度の高い脳は周囲から水分を吸い取り、むくんだ状態になります。
不均衝症候群は、脳がむくみ、脳圧が高くなるために起こります。
症状は、頭痛、吐き気、嘔吐などですが、ひどい場合は、意識障害や痙攣が起こります。
不均衝症候群は透析に慣れれば起こらなくなりますが、まれに症状が継続する場合もあり、透析困難症と呼ばれています。
これらの予防には、水分、塩分の制限を守ることが大切です。

血圧降下

除水が急激であったり、大量に除水された場合は、あくび、吐き気、嘔吐、頭痛、動悸、冷汗などですが、ひどくなると胸痛、
腹痛、意識障害などが起こります。
急激に血圧が下がることを”ショック”と言いますが、ショック症状が起きた場合には何らかの処置が必要です。
予防には、体重を増やし過ぎないことが大切です。

穿刺部血管痛

穿刺針による血管壁の刺激、血管の狭窄、血管内異物などで血管痛が起こります。
血管炎以外は温湿布とマッサージで処置をしますが、部位によって血管痛があれば、穿刺部位を変えてもらうことも大切です。

不整脈

心室肥大や動脈硬化のある人では、透析中に不整脈が起こることもあります。
症状は脈が乱れ、胸がドキドキするなどです。
また、血液中のカリウム濃度が高すぎたり低すぎたりすると不整脈がでやすくなります。予防には、血圧のコントロール、カロリー制限（高脂血症や肥満の予防）、カリウムの多い食品の制限、ストレスをためないことが大切です。

高カリウム血症

高カリウム血症（カリウム中毒）は、副作用というより恐ろしい合併症といったほうが適切ですが、カリウムの含有が高い食物を過剰に摂取すると発生します。
不整脈から心臓が停止して突然死の原因となることもあります。

出血の助長

血液凝固を抑える薬剤であるヘパリンの使用により出血（痔・生理出血･鼻血・抜歯後など）しやすくなる。
出血の危険の少ない血液凝固阻止剤もあります。
生理や抜歯後で出血が気になる場合には、先生に申しでましょう。

その他

透析中に急に体を動かすと足の筋肉などがこわばったり、突っ張ったり、痛みとして感じられたりすることがありますので注意しましょう。